私の仕事は英語教育や言語習得の分野なのですが、
色んな主張が錯綜していても、社会言語学を含んだ言語習得研究の流れを一通り学んだので、
「○○がいい、と研究結果で分かっています」など、とんでも主張を見ても、
「○○仮説に基づいている」とか「○○の理論を元にしている」というのが分かるので、この部分を切り取ってるだけだな、とか、飛躍しすぎているな、とか
研究結果がいい様に解釈されているなっていうのも分かります。
でも犬のことはまだスタート地点に立ったばかり。
アレックスが4ヶ月の頃からトレーナーさんに付いてやってきて
自分でも勉強を続けてきたつもりですが、犬の森に入るまで軸がブレブレだったのは、
色んなトレーナーがどんな理論や考え方を基にしているのか、それをどう見分けるのかが分からなかったというのも大きいです。
アレックスの吠えが酷くなった11ヶ月くらいの時は、強制派のシーザー・ミランの動画を観て「おお、すごい!どうやってるの?」と感心しちゃってたし、
下のようなシーザー・ミラン系のトレーナーさんの動画を見て、「なるほどなるほど」と思ってしまったり、
同じ犬舎出身の犬がショー・ドッグとして活躍しているのを見て、
強めな服従訓練も必要なのかなぁと感じたりもしていました。
要は、何となく強制じゃない方向を目指していたけれど、
「正の強化」「負の罰」など、トレーニングの根底にある考え方についても知らず、トレーナーさんに言われたことを取り敢えず試行錯誤してみる、という感じでした。
ネット上で、犬のトレーニング界が揉めていた時も
強制派の人の主張に違和感を感じながらも、どの辺に違和感なのかが分からなかった。だって強制派も「それらしい」ことを言うので、説得力があるというか。
どんな状況で私が右往左往してたかと言うと…
ザック・ジョージさんは犬に優しい方法を取っている方で、下の動画では
「嫌悪刺激はやめましょう」
「嫌悪刺激は長期的にみて問題に転じる可能性がある」
「こうした弊害は科学的根拠に基づいている」
「嫌悪刺激を使ったトレーナーの多くは、『バランスメソッド』と自分達のことを呼んでいるので、飼い主には犬に優しいトレーニングと強制トレーニングの見分けがつきにくくなっている」
など、嫌悪刺激を用いた強制的な手法や道具に警鐘を鳴らしています。
その主張に対して、服従訓練で有名?なイヴァン・バラバノフさんは
「お金儲けのユーチューバーがまたお金儲けのためにやっている」
「犬トレーニングは色んなやり方があって、犬に優しい訓練だけが訓練法ではない」
と下の動画で反論。
この方は通電首輪を使ってトレーニングするのですが、下の動画では
「嫌悪刺激は全ての生き物が生きる上で必要である」
「嫌悪刺激の害は立証されておらず、反対に良い効果は科学的根拠に基づいている」
「通電首輪は、嫌悪刺激ではないことが研究でも分かっている」
という主張をしています。数多くの研究結果も具体的に見せています。
下の動画のロバート・カブラルさんは
通電首輪やプロングカラー(トゲトゲの首輪)は、「嫌悪刺激ではなく、人道的に使っていれば犬に肉体的苦痛を与えずに伝えることができる。コミュニケーションの方法の一つだ」と言い
「ハーネスも通電首輪も同じく嫌悪刺激になりうる。大事なのはどう使うか」
と主張。
こんな風に、強制派の方も、犬に優しい方法を推奨している側も
「科学的根拠に基づいている」と言うので、結局どっちなんだーとなってしまい、アレックスは「大型犬なので、何かあってからでは遅い」と言われてしまうと、
違和感だけど強制的な方法や道具も必要なのか??と、まるで暗いトンネルに入ってしまったかのようでした。
でも犬の森に入り、その違いもしっかり勉強できる記事を読み込み、自分の方向性がしっかり見えてきた今は、こういったトレーニング界の論争を見ても右往左往せず、アレックスとの時間を大切に過ごすのみ。